洋服が日本に本格的に普及した当初から、ジャルコは専門的に裏地を取り扱ってまいりました。
弊社の歴史や受け継がれたノウハウの一部を、簡単にご紹介いたします。
皆様に弊社の裏地に対する想いを知っていただくきっかけとなれば幸いです。
ジャルコを語る上で外せないのがこの見本帳。
過去70年の裏地の歴史が刻まれた、世界でひとつだけの裏地見本帳です。
裏地の見本について
実際にお客様に見ていただきますと、驚かれることが多々ございます。
それは、色数、色の深み、生地の厚さ、変則組織を活用した大胆で古典的な柄など、先人達の物づくりに対する思いが足跡として多く残されております。
このサンプル帳がきっかけとなり、お客様との商談で新しい商品が数多く生まれております。
ぜひ一度足を運んで、実物をご覧になってください。
歴史を知ることで、また新しい発想が生まれるかもしれません。
ジャルコの商品開発を語る上で、欠かせない2つの商品の開発ストーリーをご紹介いたします。
レジロン
1954年(昭和29年)にプライベートブランド『レジロン』として商標登録を行い販売を始めた商品です。
当時、袖裏の商品は業者間でまったく同じ製法のため、商品にほとんど差がありませんでした。
「より良い商品を作りたい」というジャルコならではの思いが、商品開発者の心に点火し、何をすべきか?考え抜いた結果ひらめきました。
着目したのは整理加工。
当時、袖裏の整理加工は、生地を蒸気で蒸すだけの単純な方法のため、しっとりとした柔らかいハリこしのある生地に仕上りませんでした。そこで、新しい柔軟剤を開発し、他社にない、しっとりとした柔らかい肌触りの商品が完成しました。
その後もより良い商品づくりを追及し、細かな仕上げ管理も行うため、整理加工場も自社で併設し、他社にない生産体制を確立しました。この工夫が、ご要望どおりの生地・裏地を製作する提案力につながっています。
ソフトン
当時メンズのスーツはオーダーメイドが主で、一般の勤め人は、給料1ヶ月分でも1着購入できないくらいに高額品でした。そのため、同じスーツを着る回数が多く、裏地がすり切れることが普通でした。
弊社の先輩達は、何とかこのすり切れ(磨耗強度)に強い裏地が作れないかと考え、新しい商品開発に取り組みました。
しかし、当時最新の糸を使っての開発であったため、様々な課題がありました。ポリエステルの糸はキュプラ、レーヨン糸と比べて張りが強く、硬いため、静電気が発生しやすく傷ができる・風合いがゴアゴアになってしまうということなど。
それを、染色所の方にはポリエステル用の静電防止剤を開発いただき、また、整理加工屋さんには柔軟剤の開発をお願いするなど、関係会社さまとの強いつながりと試行錯誤のもと、これらの課題を解決し、ソフトでハリこしがある風合いの商品が完成しました。
普及したソフトンは、お客様に「裏地の織り傷が少なくなり、すり切れもなくなった」と大変喜んでいただけました。
そのように生まれたソフトンは、今もなお『高品質な裏地』商品として、主にオーダーメイドのお客様にご愛用いただいております。
関係会社様との強いつながりがあるからこそ、ニーズに合わせた商品を開発・提供することができました。
このように、時代を先進する、物作りのDNAを受け継ぎ、お客様のご要望を実現する商品開発を進めております。
創業当時の堀内商店
堀内商店(現在のジャルコ)を東京神田須田町で創業したのは昭和8年。
まだ日本のスーツが注文服しか存在しなかった時代のことです。
創業者の堀内弘達は、生誕の地である織物産地山梨県で、自らの感性を裏地に注ぎ込みました。
協力機屋との連携によって創り上げられた高品質・高感度の裏地を、ひとりでも多くの人に着用してもらいたい、との思いで商売を始めました。
創業者:堀内弘達
「創意」 「誠実」 「和合」を社是として掲げ、
「利は元にあり」 「お客様の利益を常に図る」ことを理念とし、
代は変われども70余年にわたり、その創業精神・理念を継承してまいりました。
二代目社長:堀内徹彌
JALCOの社名の由来は、「Japan Lining Co., Ltd.」。直訳すると、日本裏地会社」になります。
「日本を代表する裏地の会社でありたい」との思いから、二代目社長堀内徹彌が昭和50年に改称しました。
今では裏地以外にも様々な副資材を扱っておりますが、「裏地屋」としての商品への情熱、品質へのこだわりはどこにも負けない自負があります。
現社長 堀内 統
国内の繊維・アパレル業界は、中国から安価での大量輸入、衣料品の伸び悩みなどを背景に、川上から川下まで縮小基調にあります。
また、SPA形態の小売業者の増加に伴い、価格下落が進むと共に、国内繊維メーカーの受注減少が深刻さを増しているのが現状です。
このような転換期を迎え、今後不透明な中、ジャルコは70余年の社歴で培われた経験と信頼を基に、「独自の付加価値を提供するファッション業界を支えるパートナー」として、今後も常に自らの創造によって、独自性のある商品・サービスの供給に努め、お客様の期待に応え続ける企業でありたいと考えております。
ライニング・コンバーターとしての強み、すなわちニーズに合った商品開発、ニーズに対応する柔軟性、スピーディーな対応に、さらに磨きをかけ、今後は「テキスタイル・コンバーター」として、服飾に限らず、様々な用途にお使いいただけるよう、商品の提案を推進してまいります。